リスクと原因から知る歯周病
歯周病は、むし歯と並んで歯を失う二大疾患のひとつであり、特に50代以降の世代では、歯を失う原因の第1位とされています。実際、成人の約8割が何らかの歯周病にかかっているとも言われており、決して珍しい病気ではありません。当院では、患者さん一人ひとりの症状に合わせて、原因やリスクについて丁寧にご説明し、最適な歯周病治療をご提案いたします。
歯周病とは?
歯周病は、お口の中に存在する細菌によって引き起こされる感染症で、歯を支えている歯肉や歯根膜、歯槽骨といった組織を徐々に破壊していく病気です。初期段階では歯ぐきの腫れや炎症程度にとどまりますが、放置すると歯がグラグラと揺れはじめ、最終的には自然に抜け落ちてしまうこともあります。
この病気の怖いところは、初期にはほとんど自覚症状がなく、気づいたときには進行してしまっているケースが多い点です。痛みがないからといって放置していると、歯を失うリスクが高まってしまいます。歯周病は自然治癒することがないため、少しでも異変に気づいたら、できるだけ早く歯科医院を受診されることをおすすめします。
- 歯茎が腫れている
- 歯磨きで歯茎から血が出る
- 歯がぐらつく感覚がある
- 食べ物が噛みづらくなった
- 口臭が気になる
- 歯茎からよく血が出る
- 歯茎が腫れてブニブニする
- 寝起きに口の中がねばつく
- 口臭がするようになった気がする
など
歯周病は治療だけでなく歯や周辺組織も守ります
歯周病が重症化すると、歯そのものだけでなく、それを支える骨(歯槽骨)や周辺の組織にまでダメージが及びます。当院では、歯周病治療を行う際に、歯を残すだけでなく、歯肉や歯槽骨などの健康も守ることを大切に考えています。歯科衛生士と連携しながら、治療後の予防処置や定期的なケアにも力を入れており、歯周病の再発を防ぐための環境づくりを全力でサポートいたします。
歯周病治療の内容
スケーリング
定期検診などでスケーラーと呼ばれる器具を用いて、歯に付着した歯垢・歯石・着色汚れを丁寧に取り除きます。
日々のブラッシングでは落としきれない汚れを除去することで、歯周病の予防を目指します。歯周病が進行する前に、定期的なスケーリングをおすすめしております。
SRP
歯ぐきの中に隠れている歯垢や歯石を徹底的に除去し、歯周病の進行を防ぐ治療です。
レントゲン撮影や歯ぐきの検査を行い、必要に応じて実施します。痛みを感じやすい場合には麻酔を行い、安心して治療を受けていただけます。
歯周外科処置
中等度から重度に進行した歯周病に対しては、歯ぐきを切開して内部の感染源を除去するフラップ手術を行います。
目視で確認しながら、専用の器具で歯の根の周囲を徹底的に清掃し、病変部を除去することで、根本的な治癒を目指します。
歯周病ついて
歯周病は、歯ぐきや歯を支える骨に炎症が起こり、徐々に組織が破壊されていく慢性的な病気です。主な原因はプラークと呼ばれる細菌のかたまりで、これが歯ぐきの縁に付着すると炎症が発生し、歯ぐきの腫れや出血といった症状があらわれます。進行すると歯槽骨が溶け始め、歯がぐらつくようになり、最終的には自然に抜け落ちてしまう危険性もある疾患です。初期にはほとんど自覚症状がないため、気づいた時には進行してしまっていることが多く、早期発見と予防が非常に重要です。
歯周病菌は全身の健康に影響を与えます
歯周病はお口の中だけの問題ではありません。歯周病菌が歯ぐきの毛細血管を通じて血流に乗り、全身を巡ることで、さまざまな疾患に悪影響を及ぼすことが知られています。
- 肺炎
- 動脈硬化
- 心臓病
- 糖尿病
- 肺炎
- 出産
- 低体重児
- 骨粗鬆症
- アルツハイマー型認知症
歯周病の進行について
歯肉炎
歯周病は段階的に進行していくため、それぞれの段階で適切な治療を行うことが重要です。最初の段階である歯肉炎は、歯ぐきに軽度の炎症が見られる状態です。ご自宅でのブラッシングを正しく行い、歯科医院でのクリーニングを受けることで改善が可能です。
軽度歯周炎
進行すると軽度の歯周炎に移行し、歯と歯ぐきの間に歯周ポケットと呼ばれる隙間ができます。この溝にプラークや歯石が蓄積されると、ご自宅でのケアだけでは取り除くことが難しくなり、スケーリングという処置で汚れを取り除く必要があります。
中等度歯周炎
さらに中等度に進行すると、炎症が深くなり、出血や膿がみられるようになります。この段階では、歯周ポケットの奥深くや歯の根にこびりついた歯石をルートプレーニングによって徹底的に除去し、場合によっては外科的な治療が必要になります。
重度歯周炎
重度歯周炎にまで進行すると、歯槽骨が大きく失われ、歯の根がむき出しになったように見えることもあります。ここまで進むと歯ぐきを切開して内部を清掃する手術や、歯を支える組織を再生させる「歯周再生療法」といった高度な治療が求められます。
定期的な予防・メンテナンスで歯周病にならない口腔環境を
歯周病は、治療によって一度改善しても、ケアを怠れば再び進行してしまう可能性のある病気です。だからこそ、治療と並行して予防・メンテナンスをしっかり継続することが不可欠です。当院では、患者様一人ひとりのお口の状態に合わせて、ブラッシング指導や生活習慣のアドバイスを行い、予防につながる知識と習慣を身につけていただくことを大切にしています。
また、定期的なクリーニングや歯ぐきのチェックを行うことで、早期に変化を発見し、重症化を防ぐことができます。私たちと一緒に、お口の健康を守りながら、全身の健康寿命も延ばしていきましょう。